悪無限的に続く不況。
地方の市町村人口の大減少という地域の衰退。
そのなかで、必死にまちづくりを担おうとする観光現場の人々。
これらの観光現場で懸命に頑張る人々に、地に足の着いた進むべき道が提示されないまま、足踏みしている、それが我が国の、わが北海道の観光実態である。
かつて10年前は、北海道に台湾・香港観光客が大挙押し寄せ、それへの受け入れ体制に奔走した。
しかし、今北海道の有名観光地はそのような嵐は去り、台湾訪日観光は姿を消し、文字通りブームは去り、今山形が台湾観光客ブームに沸いている。
そして今度は、
「中国本土1億人観光大爆発」
に国を挙げて受け入れ態勢の音頭をとり、都道府県・市町村は中国人訪日観光シンポジウムに明け暮れ、地域現場はそれに動員させられる対象以外のなにものでもない呈をなしている。
確かにリーマンショックの激震以降呻いていたエアやエージェンシーやホテル・大型観光施設は、それで「シノギ」を得ている。
しかし、その度に地域の観光現場は猫の目のように振り回されて、地に足の着いた着実な地域づくりの実感を感じることもなく、狩り出され続ける。
北海道も「地産地消」が提起されたと思った途端舌の根も乾かぬうちに「産商恊働」が次に出され、観光の国づくり北海道観光戦略の実施計画も提示されず、全く地域事情おかまいなし、観光現場おかまいなしの「言葉遊び観光行政」と「後追い観光行政」としか映らない。
観光現場レベルでは一つのことを地域で10年叫び続け実践し続けることで、初めて根が付き花が咲き実が実るのに、である。
北海道観光連盟から衣替えした北海道観光振興機構も、結局、インバウンドを叫び、中国本土観光を叫び、しかし雲行きが悪くなると道内観光強化を叫びと、見苦しいほどジグザグな路線しか取り得ていない。
いったい、何時になったら10年スパンでじっくり着実に地域づくりと一体となった観光まちづくりが観光現場で実践され、それが共有化される時代がくるのか?
自らがそれを一歩一歩進めていると実感しながら、最初は小さな成果を刈り取り次第に目標を高め、ステップバイステップで更に挑戦していく喜びを感じ得る、地域づくりが実現されるのか。
そのような、現状に嫌気をさし諦めるのか、それとも別の道があるのか。
それを探ろうと、
「時代に左右されない、あずましい後志(地域)づくり」
をテーマに、雪あかりの路の最終土曜日、過去8回連続して開催してきた「しりべしiネット・シンポジウム」の「ニューツーリズム・その実践編6」が、盛況に開催された。
基調講演は、観光庁・前長官で首都大学東京で観光学の教授になられた小樽出身の「本保芳明」氏。
パネラーは、水産庁水産経営課課長補佐で来樽直前に内閣府食品安全委員会事務局総務課長補佐になられた「長野麻子」氏。
後志サイドは小樽観光協会副会長の「谷口美津江」氏。
コーディネーターは、小樽市で開催するシンポジウムではその進行とまとめでは人々を唸らせる企画プロデューサー「川口直木」氏。
この四方で「時代に左右されない、あずましい後志・地域づくり」を語っていただいた。
《 続く 》