2010雪あかりの路Vol.12の最終土曜日、2/13PM3:00から小樽運河プラザ三番庫で、
しりべし・ニューツーリズム実践編その5
「北海道・しりべしらしい産業観光への提言」 と題しまして、
基調講演を日本観光協会常務理事・総合研究所所長 丁野朗氏
をお招きします。
更に、上記丁野朗氏も引き続き隣席いただいて、
札幌国際大学観光学科准教授・NPO炭坑の記憶推進事業団理事長 吉岡宏高氏 NPO法人風土デザイン研究所理事長 田村喜子氏のお二人と一緒に、
しりべしの産業観光資源をどう活かすかと題して鼎談をしていただきます。
かつては、後志支庁管内年間3000万人の観光来訪者を目指そうとした時代・・がありました。
が、年間2500万人の入り込みをピークに、減少傾向にはいりました。
以降は減少傾向で、平成 20年はかろうじて2000万人はキープしたものの、平成21年上半期だけ40万人弱の減少で、2000万人を切る事態が予想されています。
もちろん、様々な要因があります。
後志エリアの観光入りこみ減少の大きな要因は、地域別にみると観光小樽の減少が大きい。
リーマンショックからの大不況、円高による海外訪日客減、インフルエンザキャンセル減もあります。
そうやって分析をすることはできても、では次は何かは仲々回答はありません。
その一方、本当に後志の観光現場はリーマンショックから立ち直れていない中で、日々をシノぐのに懸命です。
このような社会条件に弱い観光から、それに左右されない、いわゆる持続的発展が可能な観光地づくりを用意していかないと、ただ復活するかどうかわからないマスツーリズムに自分たちの地域の運命を預けてしまう羽目になってしまいます。
時代が大きく激動しているときこそ、もう一度今の後志エリアの広域観光と20の個々の市町村の観光まちづくり路線を見直し、その将来を再構築する必要性をしみじみ感じます。
確かに、後志でもっと激減著しいのが小樽です。
しかし、未だ700万人ものお客様に来訪頂く小樽で、今、新しい動きが始まってます。
鰊が群れて産卵に来る「群来(くき)」の到来にあわせて開催した小樽・祝津・鰊祭り、その期間開催した「ニシン番屋巡りツアー」には定員に倍する申込みがあって、案内人が嬉しい悲鳴をあげました。
雪あかりの路の裏方(スノーキャンドルづくりやそのメンテナンスなど)を見学体験する「バックヤードツアー」は、観光ボランティアさんが驚く申込みで今年は毎日4回を一〇日間開催します。
後志人には当たり前のシャコをアピールした観光協会と漁協のコラボした「小樽シャコ祭り」には2万人、旧国鉄手宮線を会場にした小樽市内ガラス工房とガラスメーカーのコラボした「ガラス市」にも、事前周知期間が僅かであったにもかかわらず2万人のお客さんの来訪をいただきました。
JR小樽が企画した赤岩自然道散策や天狗山散策は定員オーバーの400人が殺到する、という現象が続出しているのです。
一時、970万人の来訪を得、今でも700万人もの年間入り込みの観光小樽ですので、上記のお客様の来場は、せいぜい百人単位から2〜3万人くらいと、マスツーリズム世界では問題にならない「量」かもしれません、
が、マスツーリズムの塊のように思われてきた観光小樽で、迎える側と訪れる側の「交流と学び」の世界が、現実のものになっているのです。
それが示していることは、観光はもはや観光事業者だけの世界ではなく、そこに生き住む普通の人々が主人公になる時代になった、ということです。
そして、それが訪れていただいた人々の満足の源泉になってしまった時代となったことです。
それを、観光業界は、
知識探求型観光
とか
体験学習型観光
と呼んでくれます。
おいおい、ちょっと待てよ、です。
そんな風に呼んでくれますが、それは色々ある旅行形態のバリエーションの1つにすぎないのでしょうか?
勿論、産業がなければ地域社会は成り立ちません。
でも豊かな文化をもった地域でなければ魅力ある観光地ともなり得ず、観光を産業として成立させることは出来ません。
豊かな文化を育む土壌は、郷土史家の地道な研究であったり、郷土芸能保存の取り組むNPOであったり、あるいは農業体験受け入れの農家であったり、と実は観光を生業としない人々の側にあるのです。
従って、経済的側面にばかり目を奪われた産業としての観光を叫んでいるだけでは、地域を挙げて観光振興に取り組むなどは無理で、地域の人々のモチベーションも高まりません。
つまり、
観光を生業としている人と、 観光が生業でない人と、 訪れて頂く人々の三方一両「得」
をめざすことが、
観光振興による「地域の活性化」なのです。
それを、私達はニューツーリズムとしての「
産業観光」と呼びます。
その日本の産業観光の第一人者が、今回のしりべしiネットシンポジウムで基調講演していただく、
日本観光協会常務理事・総合研究所所長 丁野朗氏です。
そして、ニューツーリズムとしての「産業観光」の先鞭を、この北海道で、石炭・炭坑・鉄道という北海道の近代化を支えた産業とそれよって今日まで育まれてきた都市が一体となって観光を切り口にした地域振興をとして、空知・石狩・後志・胆振の4支庁をまたがって構築しようと「
ハブ観光」を提案されているのが、
札幌国際大学観光学科准教授・吉岡宏隆氏です。
更に、石炭・炭坑・鉄道という北海道の近代化を支えた幌内鉄道となると、日本の近代化遺産、土木遺産をライフワークテーマにされる、小説「
北海道浪漫鉄道」の著者、
NPO風土デザイン研究所理事長・田村喜子氏が、パネリストをお引き受け頂けました。
ニューツーリズム展開としての「産業観光」を、北海道・しりべしからはじめるべく、2/13しりべしiネット・シンポジウムにご参加ください。